ファイバーPOG

ペーパーオーナーゲーム(競馬)を開催します。ファイバーPOG開催予定

真田丸39

「歳月」

ナレ 信繁たちが九度山に流されて、十年が過ぎた。上田に戻ることを夢見ていた昌幸だったが、その願いは叶わぬまま、六十四年の生涯を閉じる




源三郎 さぞ御無念であったであろう

源次郎 兄上。父上からこれを。これまで戦場で培ってきた、戦の仕方、勝ち方が全てこの中にあると、父上は仰せでした

源三郎 孫子の兵法にも匹敵する貴重なものではないか

源次郎 御覧になってください



源三郎 凡人には全くわからぬ

源次郎 父上らしいとも言えますが

(全て記号で書かれている

源三郎 全部こんな感じか

源次郎 全部こんな感じです




源三郎 父上が亡くなったこともあり、少しでも早く御赦免いただけるよう、これからも…うん?

源次郎 兄上の御気持ちは嬉しいのですが、これだけ長くおりますと、今の暮らしに何の不満もなくなってしまいました

源三郎 わしを気遣って、そう言っておるのだな

源次郎 (ぃえぃえ…

源三郎 みなもそうなのか?

春 旦那様といる間が多いので、ここに来られて本当に良かったと思うております

きり 村の女の人達に、縫い物を教えたりして、かなり満ち足りてるんですよこれが

佐助 森で見つけたキノコです

源次郎 梅と大助にいたっては、ここでの暮らししか知らないわけで、無理して上田に戻らずとも

源三郎 しかし、ここで一生暮らすというのは。どうなんだ大助。信濃や京、大阪へ行ってみたくはないのか

大助 …

きり こっちはこっちで、何とかやっておりますので。さほど御心配されることもないと思いますよ

源三郎 内記はどうしてる

源次郎 父上が亡くなられたあと、追腹を切ろうとしましたが




回想
内記 止めるでない!

佐助 内記様!

源次郎 内記!止めんか、内記!

止める

泣く




源三郎 父上とは、わしらが生まれる前からの仲だからな

きり 御心配なく。すぐに元気になりますから

源次郎 兄上こそ大変なのではないですか。大名として領内をまとめていくというのは

源三郎 新たに堀を作って、田に水を引かせたり、荒れ地を耕して畑を広げたり。まあ、やらねばならぬことはあとをたたぬ

源次郎 休む暇もありませんね

源三郎 まあ、そういう地道な仕事のほうが、わしには向いておるのかもしれんが

きり 御互い収まるところに収まったということで、よろしいんではないでしょうか




源次郎 御子たちは息災にしていますか

源三郎 ああ、なかなか頼もしく育っておる。大助は、少々大人しすぎはせぬか

源次郎 …私は、子を育てるということが、どういうことかよくわかっておりません

源三郎 父上という手本があったではないか

源次郎 私はほったらかしでした

源三郎 何を言うか。あれほど、父上に愛されておったのに

源次郎 父上が愛しておられたのは、兄上です

源三郎 幼いころ、わしは叱られてばかりであった

源次郎 愛されていた証です

源三郎 大人になってからは、事あるごとにお前は面白くないと言われ。事が起きたときには、いつも蚊帳の外だ

源次郎 兄上に何かあっては困るからです。そんな兄上が羨ましかった

源三郎 その言葉、そっくりお前に返す

サンジュウロウ 私に言わせれば。大殿は、どちらも愛しておられたと思いますよ。大殿は、大殿なりに御二人を育て上げ、そして、御二人とも立派にお育ちになられた。大殿が立派な父親であったかは、何とも言えませんがね

源次郎 口が過ぎるぞ

源三郎 ふふ

サンジュウロウ 失礼しました

源三郎 子育ては人それぞれ。自分にあったやり方を、見つけるしかないのかもしれんな

源次郎 兄上。1つお願いがあるのですが

源三郎 申してみろ

源次郎 ここでの暮らし、何の不自由もないと申しましたが、あれは嘘です。借金がかさみ、かなり暮らしはきついです

源三郎 仕送りが足らんのか?浅野家からも御手当てがあると聞いておるが

源次郎 実は、父上が生きておられる間は、みじめな思いをさせぬよう、暮らしぶりだけは無理をしていました

源三郎 そうであったか

源次郎 そのツケがまわってきました。きりは北政所様の侍女をしていた腕を生かして、村で縫い物を教え、佐助は若い衆を相手に忍の小技を指南して小遣い稼ぎを。しかし焼け石に水

源三郎 わかった、何とかしよう

源次郎 こんなことお願いして申し訳ありません

源三郎 これ以上、ひもじい思いはさせん

源次郎 2,3日泊まっていかれますか

源三郎 明日の朝発つ。急ぎ、京へのぼらねばならんのだ。高台院様に、取り次いでくれるお人を、サンジュウロウが見つけてきてくれてな

源次郎 どうかその件はお忘れください

源三郎 やらせてくれ。いつになるかはわからんが、またみなで暮らすのは、わしの願いなのだ




つう 幾度もおいでをいただきながら、申し訳ないんどすけど。高台院様は俗世を離れて、もはや滅多なことでは人には御会いになりまへん

源三郎 左様ですか

つう 遠路はるばるおこしやしたのに、お役に立てんと、堪忍しとくれやす

源三郎 実は、それがしがここを訪れるのは、それだけが理由ではないのです。あなたとこうして…時を過ごしていると、実に心が落ち着く

つう そうやろね。みなそう言ってくれはりやす

源三郎 また、参ってもよろしいですか

つう 男の衆は、家の外でも中でも、えろう気をはって生きてはります。うちといてて、お心がはれるのなら、いつでもおこしやす

源三郎 ありがたい

つう 和歌は嗜まれますか

源三郎 得手ではない

つう 次は、和歌をお教え致しましょう

源三郎 待ち遠しゅうござる




源次郎 大助の元服も遠くない。守役を務めてほしいのだが

内記 わたくしが、でございますか

源次郎 私には父親らしいことが何一つできぬ。大助を一人前の男に育て上げてやってくれ

内記 身に余る誉れにございますが。わたくし何ぞに

源次郎 お前しかおらんのだ。頼む




内記 大殿様は、よーく仰せでござった。この盤面には、戦の全てが、あると。心してかかられよ

頷く

内記 囲碁というものを、一言で表すならば、碁盤は土地。石は杭。相手に四方を囲まれたら、取られてしまうのは正に戦と同じ




ナレ 徳川家康は、江戸の屋敷に大名の家族を住まわせ、大名たちに両国との間を行き来させた。参勤交代の原型である

薫 ようは人質ですよ。とうとうその定めには抗えなかったということ

松 だけど、江戸は住み良いではないですか

薫 住み良いとか住み良くないではないのです。ここが合うか合わぬか。こちらのカエシはもぅ固くていけません。やはり京の物に限ります

稲 真でございますねえ

松 ねえ、この先どうなってしまうの?このまま徳川様の世になってしまうの?

シゲマサ 関ヶ原から目立った戦もないし、たぶんそうなるんだろうなあ

稲 徳川様にお任せしていれば大丈夫です。きっと、住み良い世の中になります

薫 シゲマサ殿、今度源三郎が京へ行ったとき良いカエシを買ってくるように伝えておくれ

シゲマサ かしこまりました

松 母上は、世の流れよりも顔の脂のことが大事みたい

薫 当たり前です

シゲマサ はははは

こう すえ様がおみえです

薫 すえ

堀田 御挨拶

すえ あ。御久しゅうございます

薫 そうそう、すえにわたくしの扇を見せる約束をしていたのです

堀田 おすえ。じゃあな

すえ 叔父上

シゲマサ あなたもおいでなさい

堀田 いえいえ、滅相もない

薫 どれもこれもわたくしが京にいたとき、親しくしてくださった御公家方からいただいたものです

すえ 婆様の御父上は、公家の中でもとりわけ偉い御方と聞きました

ウンウンッ(咳ばらい)

薫 キクテイハルスエキョウ

すえ キクテイ?

松 右大臣まで勤められたのよ?

シゲマサ 知らなかった

薫 これはマゲノコウジスケマロ様からいただいた扇ねえ

松 若い頃は、大層御公家様の間でもてはやされたとか。それが小県の父上の元に嫁がれて、あんまり田舎なので驚いたんですって

薫 殿は素敵な方でしたけどねえ。それはそれは凛々しい若武者ぶりでございました

シゲマサ 目に浮かぶなあ

松 すえ。すえにも、京の御公家の血が流れてるんですよ。忘れてはなりませんよ

すえ はい

薫 これは、オオイノミカドヨリモリ様からいただいた扇ねえ

ナレ 真田昌幸の妻薫は、夫が死んだ2年後。江戸にてこの世を去る




三年後

内記 うん…

大助 まいりました

内記 勝った!弱いですな若は

内記勝ちまくり




きり お梅様、よろしく。はい、まずは針に糸をくるくるくると巻き付けて、しゅっと抜いてぽちっと止めたら、これを裏側からツウーと突き刺して、表からぷすりと刺す。ツウーと裏側から突き刺し表からぷすり。この繰り返しです。さあ、やってみましょう。さあ

梅ときりが村のおなごに縫い物を教えている




佐助は忍術を教えている




畑に水をやる源次郎

源次郎 裏山で良い湧き水を見つけた。これで畑が枯れることもない

きり 兄は9万5千石の大名で、弟はちっぽけな青物畑で汗水垂らす。その差はいかに

源次郎 分相応というものさ

水を流す が壊れる

きり あ!作りが甘いんじゃないですか

源次郎 きり、ちょっとそこを縛ってくれ

楽しそうな二人~省略
それを見つめる春

源次郎 なかなか難しいものだな

春 兄上様から荷が届きました

源次郎 うん




源次郎 今月も蕎麦か

春 どうゆうおつもりなんでしょうか

源次郎 ひもじい思いはさせぬと、兄上は約束された。こういうことではなかったのだが

春 大助も大八も、朝夕蕎麦がきばかりでは…。育ち盛りだというのに心配です




佐助の書いた絵を見ているきり

佐助 あ。良かったら(お茶)

きり すみません

佐助 …源次郎様は…どうお考えなんですかねえ。このままここで終わるおつもりなんでしょうか。まだそんな歳じゃねえでしょう。お若いのにもったいないですって。俺、あの人が本気出すならやりますよ

きり …

佐助 どこまででもついていきますよ。俺、あの人見てると、なんかもうイライラしちまうんだ。兄貴なんかに負けちゃダメだっての。ここだけの話ですが、あそこの兄貴…真面目なだけで、クソ面白くもないじゃないですか。はっ、一所懸命なのはわかるけど、人としてつまらねえですから。一緒にいると、3つ数える間に飽きちまうんだ

きり …

佐助 源次郎様にはもう一度、日の当たる所に出て行っていただきたいんですよ。ここで一生終える御方じゃねえ。あのクソ面白くもねえ兄上が、あんな良い思いしてるってのに…

源次郎 佐助。ちょっと頼む

佐助 は




源次郎 これから村に行って、商いをしてくる

きり 商い!?

源次郎 蕎麦粉を売って、金を稼ぐ

春 蕎麦がき茹であがりました

きり また沢山茹でたこと

源次郎 これを食べて味を知ってもらい、その場で売りつける。信州名物。きっとめずらしがって買ってくれるに違いない。一緒に来てくれ

佐助 は

きり 売れますかねえ

春 しっかり商ってくださいね

源次郎 うん




源次郎 信州名物、蕎麦でござる。一度食べたらクセになる。信州名物の蕎麦はいかがかな

きり ほらみんな集まって

源次郎 食べ方は雑作もない。この蕎麦粉を、水でこねて茹でるだけ

きり こちらが信州名月蕎麦粉で作った蕎麦がきでございまーす

源次郎 さあ一口!

きり 騙されたと思って

佐助 あーじーよーしの、そーばー。めされそーらーえー

源次郎 京や大阪で買えば20文のところを、今回は日頃御世話になっている村の衆に10文でお分け致そう!

ざわざわ

源次郎&きり&佐助 あーじーよーしの、そーばー。めされそーらーえー。めされそーらーえー




一人寂しく過ごす春




内記 はい!わしの勝ち!ははははは

落ち込む大助




源次郎 もう少し売れてもよいと思ったんだがなあ

きり やっぱり蕎麦がきって、人を選ぶんですよね。慣れれば美味しいんだけど

源次郎 それなら細く切って…味に馴染みがないなら同じか。はあ

ナレ 蕎麦がきを細く切ったもの。いわゆる現代の形の蕎麦が全国的に定着するのは、もう少し先の話である

源次郎 はあ




春 お帰りなさいませ

源次郎 商いというのは難しいのだな

春 私が作った蕎麦がきが美味しくなかったのでしょう

源次郎 そういうことではない

障子に空いた、スゴい数の穴

源次郎 お前を連れていかなかったのは、お前に商人の真似をさせたくはなかったからだ

春 きりさんはいいんですね?きりさんは?

源次郎 いつだったか、ゆうておったろ。きりのことはどうでもいいと

春 …

源次郎 わかった、あいつには暇を出す

春 わたくしが追い出したようになります。良いんです。申し訳ございませんでした

障子に穴を空けて出ていく

源次郎 はあ




きり 面倒くさい人

源次郎 そう言うな

きり 何を今さらって思いますけどねえ

源次郎 どんなに長く私といても、私とお前が出会ってからの年月を超えることはできない。それがわかったのではないか

きり 当たり前じゃないですか

源次郎 まあ、そう言うな

きり 出ていってほしいなら出ていきますよ

源次郎 いや、そういうことでは

きり こっちだっていつまでも源次郎様しか心にないわけじゃありませんし

源次郎 そうなのか

きり 子ども3人も生まれた日にゃ、さすがにもう

源次郎 そうはっきり言われると、少々寂しいが

きり はあ。私がここにいるのは、父上のためと、源次郎様が私にいてほしいと思っているから。春様にも相談できないことって、やっぱりあるでしょ。そんなときに力になってあげられたらなって。もう菩薩の心ですよ。どうしましょうね

源次郎 もうわからん。一度春と話してみてくれ

きり はあ?

源次郎 二人に任せる

きり 逃げる気か!




きり 大助様と囲碁は?

内記 また大勝ちであった

きり 少しは手加減して差し上げたら?

内記 男はいつも真剣勝負じゃ

きり 大助様お可哀相




落ち込む大助

? 真田様の御屋敷はこちら?

うなずく大助




ナレ 豊臣秀次の娘たかは、信繁の計らいでルソンへ渡っていた

たか マガンダンハポン(こんにちは)

源次郎 御元気そうで、何よりです

たか 日本にかえて、何より御会いしたかったのがサエモンノスケ様。方々、探しました

春 わたくしはよく存じませぬが、どういう間柄ですの?

たか 側室です

春 !

源次郎 形だけだ。秀次様の妻子御身内はみな死罪となったので、こちらを助けるために、方便として側室にした

たか でも、側室は側室でございますよ?マハルキタ!

抱きつく、たか。杭をかまえる春。きりが止める

源次郎 あなた、そういう人ではなかった

たか 長年むこうにいたので、私なりに色々なことがあった訳ですよ

きり 今は何を?

たか スケザ殿に教えていただき、ルソンを根城に手広く商いをやっていますわ。そうだ!お土産お土産




たか みんな、好きな物持ってって良いよ

きり うわー、きれい

たか それはコンロンの珊瑚ね。御安くしとくよ

きり お金とるんですか?

たか 商売ですから

春 これは何ですか?

たか お客さん、御目が高い。それは、シャムの甲羅です

春 シャムにも行かれたの?

たか ルソンには、色んな国から商人がやってくるの。それは、ネイパラの紐。差し上げます

源次郎 ネイパラ

春 どこにあるの?

源次郎 どこにあるんですか

たか 天竺の北のほうらしいね。サナールって言うんだけど。すっごく頑丈なの。なでかてゆうと。伸び縮みしないから

春 サナール紐

たか 紐つけない。サナールが紐て意味だから。サナール紐って言ったら紐紐になちゃうよ

源次郎 これ、ちょっと見てくれ。いくつもの糸が、縦横きっちりと織り込まれている。何か思い出さないか

きり さあ

源次郎 上田のつむぎだよ。あれもこんな織り方だったような気がする

きり 言われてみれば

源次郎 思いついたことがある

きり はい?




たか マハルキタ

梅 マハル、キタ

たか お慕いしています

たか マハル、ナマハル、キタ

梅 マハル、ナマハル、キタ

たか もっとお慕いしています




源次郎 紐を編んでほしい

きり 紐!?

源次郎 これを手本にするんだ。編むというよりは、織るといったほうが正しいかな。つむぎの要領だ

きり なるほど

源次郎 春、手伝ってやってくれ

春 でも

源次郎 いいから。やる




春 たか様は、ずっとここにいらっしゃるおつもりなんでしょうか

きり さあ。めが荒くなってる…

春 すみません

きり 仕事は丁寧に。…私、一先ずここおいとましようと思ってますんで

春 !…旦那様に言われたのですか?

きり 私の考え

春 ここで、旦那様を支えてあげてください

きり 居てほしくないんでしょ?

春 思ったこともありません

きり 自分に正直にならないと、損するよ?

春 …

きり だからそこ、めが荒くなってる。みんなあなたに気を使ってるの。わかってる?おかしな話よ。子ども3人も作っておいて。白状しますけど、私だってそりゃあ源次郎様の御子がほしいと思ったこと、ありましたよ?でも遠い昔の話。だからね、余計なこと、考えない。あの人にとっては、あなたが一番なんだから

春 …

きり うん。これで良いでしょ。抑えてるから、そっち持って

春 引っ張りますか?

きり お願い

互いに引っ張る

春 きりさん。どこにも行かないでください。私のために

二人でギューっと引っ張る

きり ちょうど良い具合ね

春 はい!




たか 京に行こうと思とります。瑞龍寺というところに、祖母がいるんです

源次郎 御婆様もお喜びになりましょう

たか 祖母に会ったら。またルソンへ戻ります

源次郎 左様ですか

たか 助けていただいた命。必ず大切に使います。サラマッポ

源次郎 サラマッポ、というのは

たか 教えない!




源次郎 これぞ、サナール紐ならぬ真田紐。どれだけ頑丈か、試してみてほしいんだ

佐助 はい

きり 春様と私で作ったの

春 かなり大変でしたね

ふふふ

試す佐助

佐助 一本、おいくらですか?




源次郎 これまでの縄や紐と違い、極めて頑丈にできている。重いものを吊るすときなど、実に役にたつ。また、糸の色を変えることで、様々な模様を織り込むことができる。鎧や太刀の飾り紐にももってこい

チョウベエ わしらは百姓じゃ。ここまで頑丈な紐はいらん。鎧や太刀にも、縁遠い暮らしなのはようわかっておられよう

源次郎 承知の上だ

チョウベエ ん?

源次郎 取引をしようではないか。私はこの紐を考え出した。しかし、沢山作るのは人手が足りぬし。外に売りに行くこともできない。そこで、村長殿。そなたに、この真田紐を作り、そして売ることを任せたい

チョウベエ 何ですと

源次郎 作り方を指南し、みなで作って、みなで売り歩くがよい。ただし、まずは手付けとして銭を五貫。それから売り部の一割。そして真田紐という名前を必ず使うこと。どうだろう。長年面倒をかけている、村の衆への恩返しになればと思うておる。必ず儲かる。良い思い、あじおうてくれ




内記 遅れました

源次郎 おお内記、待ちかねたぞ

内記 これはまた豪勢ですな

源次郎 金が入ったので。佐助が山を下りて買ってきてくれたのだ

春 さあおあがりくださいな

内記 おお、鯛を口にするのは何年ぶりですかな

源次郎 良かったらみんなもつまみなさい

佐助 まだまだきますよ?

源次郎 大助の姿が見えぬが

ああ…

内記 わしに15連敗したのがよほど悔しいんでしょうなあ。わははは

きり 子ども相手に大人げない

内記 囲碁の世界は厳しいもんなんじゃ




部屋で囲碁をしている大助

大助 父上

源次郎 そのまま。また負けたらしいな。お前の爺様は、戦が始まる前は、いつも内記と碁を打っていた。気持ちを落ち着かせるのに丁度いいらしい。私はやらないのでわからないが、そうなのか?

大助 …さあ

源次郎 …

大助 …

源次郎 父に教えてくれ

大助 え?

源次郎 さあ

大助 内記殿のほうが、良いのでは

源次郎 お前に教えてほしいのだ。まずはどうする

大助 まずは…碁盤は土地と思ってください

源次郎 ほう

大助 内記殿がそう言っていました

源次郎 それから?

大助 石は杭。ぐるりと囲めば、そこが領地になります。囲んだ領地が広いほうの勝ち

源次郎 そうなのか。知らなかったな。大助、お前の話はわかりやすいな

大助 あともう1つ

源次郎 はい

大助 相手の石の四方をふさげば、その石を取ることができます

源次郎 四方をふさぐ

大助 そうやって、相手の杭を抜きながら自分の杭を打っていき領地を広げていく。それが囲碁です

源次郎 やってみよう

大助 本気ですか?

源次郎 是非御手合わせを

大助 はい

源次郎 うん

大助 では、私から




庭にたたずむ源次郎。盛り上がる円卓。振り返ると

? 真田サエモンノスケ、信繁様でございますね

源次郎 何者だ

笠をとる

源次郎 お主は

明石 元宇喜多秀家家臣、明石カモンノカミテルズミ。サエモンノスケ様を、御迎えに参りました