ファイバーPOG

ペーパーオーナーゲーム(競馬)を開催します。ファイバーPOG開催予定

真田丸35

「犬伏」

ナレ 上杉討伐に乗り出した徳川家康。その機に乗じて、三成は、打倒徳川の旗を挙げる。風雲急を告げる中、真田昌幸が選んだ道は




源三郎 徳川ダイフ様の命により、われら、上杉討伐に出陣となります。しかし、真田と上杉は、かねてより深い絆で結ばれており…よって、真田は上杉につくことに決めました

薫 徳川を裏切るのですか?

昌幸 裏切るのではない。表返るのじゃ。サエモンノスケ

源次郎 明日大阪を出立し、父上は上田に、兄上は沼田にそれぞれ戻り、軍備をととのえ、会津へ向かいます

昌幸 そこでお前たちだが、大阪には徳川方の兵も数多おる。わしらが上杉についたとなれば、いかなる害が及ぶかもしれん。その前に、大阪を脱出せよ

こう 薫様?

薫 めまいが…

昌幸 戦が始まりそうになったら、すぐに使いをよこす。それを待って、直ちに上田へ逃げよ

春 わたくしの父は、このことを存じておりましょうか

昌幸 刑部殿は三成挙兵の一件から、徳川に近い。耳には入れておらん

春 …

源次郎 きり、みなのことをよろしく頼む

きり かしこまりました。みなさん、私についてきてください。心配ございません

春 …母上様は、必ずこの春が無事、上田までお連れ致します。心配ございませんよ




薫 あぁ…

春 母上様、きっと上手くいきますよ

きり 上田に帰れるんですよ。良いほうに考えましょ

春 きりさんは、細川様にお仕えしているのではないですか?

きり こっちのほうが大事です。向こうはしらばっくれちゃいますから。平気平気

薫 心強いこと

きり 私は、真田の、おなごですから




源三郎 稲が、父上に御話があると

稲 わが父、本多忠勝より、書状が届きました。ダイフ様は、真田のことをまだ心底から信じておられぬ御様子。もし裏切るようなそぶりを見せたらすぐに知らせよと、書いてあります。されど…稲は、真田イズノカミの妻でございます。徳川に動きを知らせるようなまねは、決して致しませぬ

昌幸 よくぞ言うた稲。お前は立派な真田の嫁じゃ




源次郎 片桐様

片桐 サエモンノスケ

源次郎 この時期は虫がつきやすいので心配になりまして

片桐 確かに葉があちこち食われておる。石田治部の想いがこもったこの桃の木。いずれは実を結ぶのであろうな

源次郎 育て方次第でしょう

片桐 案外と早いような気がする。来月あたりには

源次郎 さすがに、そこまで早くはないでしょう

片桐 はははは。キタノマンドコロ様

寧 サエモンノスケ

源次郎 御無沙汰しております

会津へは?

源次郎 明日、出立致します

寧 ほんに、いつになっても戦はなくならんもんやねえ

源次郎 …

片桐 あ、いた。ごめん

寧 きりは達者かね

源次郎 相変わらずです

寧 あの子はほんに、気立てのええ子

源次郎 ありがとうございます

寧 戻ってきたら、きりも連れて顔出しなさい。なんぞ馳走してあげましょう

源次郎 ありがとうございます




天守を見上げる源次郎。秀吉や茶々と初めて会ったときを思い出す




直江 徳川家康江戸城に入ったよし

上杉 軍勢は

直江 およそ6万。黒田福島などを加えれば総勢10万を超えましょう

上杉 多いな。勝てるか?

直江 領内でわれらと共に戦うというものを、身分に関わらず取り立てるというのはいかがでしょうか

上杉 それがよい

直江 は

上杉 …嫌がるものは…逃がしてやれ

うなずく




家康 お前は先に江戸をたて。わしはその後、ゆっくりとついていくこととする

秀忠 かしこまりました

家康 本多サドノカミをつけてやる

秀忠 …本多殿

家康 天下一の知恵袋じゃ。数万の大軍に匹敵する味方と心得よ

秀忠 ありがたき幸せ

本多 この通りの老いぼれでございます。足手まといにならぬよう、心がけまする




秀忠 はあ。父は、私を御信じになってはおられんのだろうか。せっかくやる気になっておったのに、気持ちが萎えた。…ま若干だが

江 お前様?お心をしっかりお持ちくださいませ。お前様は徳川を引っ張っていく御方。できます。大丈夫です、できます

ナレ 秀忠の妻、江。茶々の下の妹である




ナレ 7月10日。大谷ヨシツグは上杉討伐に加わるために美濃のタルイまで兵を進めた

大谷 石田治部が、ここへ

どうしても殿に御会いしたいと仰せです




大谷 徳川が北へ向かっている間に、こちらで兵を挙げ、大阪城を抑え、秀頼公を奉ずる。悪い手ではないな

三成 われらに、同心願いたい

大谷 勝てると思っておるのか?

三成 わかりませぬ。しかし、やらねばならぬのです。御奉行は、ダイフの策略で3人となり、利家様亡き後の前田家は、すっかり骨抜きにされました。上杉討伐も、明らかに徳川の言いがかり。今倒さねば、豊臣の世は終わりまする

大谷 …

三成 御命、私に預けてはいただけまいか

大谷 …今日はもう遅い。泊まって行かれよ




咳き込む大谷。椀を持つにも力が入らない

大谷 わしは…あの男が来るのを、待っていたのかもしれぬな




石田様

三成 どうした

わが主がお呼びでございます




大谷 勝てるかどうかわからぬと申したな。そのような男に、命を預けるわけにはいかん!共に死ぬなどまっぴら御免。そのような弱気な言葉、二度と口にするな。兵を挙げるからには必ず勝つ!その気概なくしてどうする!!

三成 刑部殿…

大谷 まずは…秀頼公の御名のもとに、徳川ダイフをオトナシュウから外す。さすれば、上杉討伐が、徳川が起こした勝手な戦ということになる。次にこれまで、ダイフがいかに太閤殿下の御遺志に背いてきたか、弾劾状に記して、全国の大名に送りつける。ことは急を要する。治部殿、泣いている暇はござらんっ。わしが…お主を勝たせてみせる

(涙)




昌幸 待ちに待ったこの時がやってきたぞ内記

内記 長い間、よくぞ御辛抱されましたのう

昌幸 まず、家康の首をとる。そして、信玄公が治められた、甲斐、信濃。この手に取り戻すのよ

内記 いよいよ…悲願成就の時でございますな




与作 戦になんのか

堀田 何じゃ。不満か

与作 俺はもういいよ、畑仕事だけさせといてくれ!

堀田 例の刀狩りで、もう二度と戦に出ることはあるまいと思っとったが。こんな日が来るとはなあ




きり 全て御持ちになるのは、御諦めください

薫 ようやく集め直したのですよ、また手放すのですかあ?

きり 大事なのは御命でございましょう!?

薫 同じくらい大事です!

ドン!

何?

佐助 石田治部様と、大谷刑部様の軍勢が、ただ今大阪御入城でございます

春 父が!




三成 まずはこの弾劾状を、全国の諸大名、並びに、徳川ダイフ本人へ送りつけます。これをもって、戦の初めと致しまする

片桐 うん

三成 そして速やかに、諸大名の妻子を人質として、大阪城に集めます

片桐 伏見城はいかがいたそう?

三成 人質を取り次第、攻め落としまする。伏見城攻め。宇喜多様、小早川様にお願いしたい

宇喜多 心得た!

三成 そして宇喜多を先鋒に、総勢で江戸に押し進みまする

総大将の毛利様には、秀頼公をご承?のうえ、この大阪城に御留まりいただきます

毛利 あいわかった

三成 太閤殿下が御築きになられた、豊臣の世の行く末は、この一戦にかかっております

おお!!




秀秋 伏見城を攻めることになってしまった。戦の采配など、もう勘弁してほしいわ

コウセツサイ それなら止めておかれませ

秀秋 断れるわけなかろう

コウセツサイ では、戦うと見せかけ、なるべく動かぬこと

秀秋 …そっちのほうが難しいわ。気がめいる

コウセツサイ キンゴ様

秀秋 何じゃ

コウセツサイ 実は…セッソウ。徳川ダイフより間者として送り込まれたものでござる

秀秋 …!?




春 春は、アワノカミ様より、頃合いをみて上田に向かうように言われております

大谷 真田殿は上杉に寝返る気か

春 表返るだそうです

大谷 大阪は、石田方が抑えた。お前たちは、わしのところへおれば何の心配もない

春 にこ

大谷 笑っておるのか?

春 父上が、御元気になられています




ナレ 石田三成は、大阪にいた大名たちの家族を大阪城に集めて、人質とした。この時、大阪城にいたアチャノツボネは、混乱に乗じて城を脱出している




春 母上様、お急ぎください

薫 そう急かさんでも。刑部様の御家来衆が守ってくださるのでしょう?

きり 人質であることは御変わりございませんからっ

薫 そうなのですか?

きり 真田が決して裏切らぬよう、私たちは、豊臣の人質にされるんです

薫 聞いておりませぬ!

春 !。あちらの空に煙が上がっています

きり あれは

佐助 細川屋敷の方角でございますっ

きり 私、ちょっと見て参ります




周りの部屋が燃えるなか、教を唱えるガラシャ

きり 玉様!早く逃げないと!

ガラシャ 殿様から仰せつかっているのです。もし、人質にとられるようなことがあれば、屋敷に火を放ち、自害せよと

きり 御命を粗末にしてはなりません!玉様には、もっと色々教えていただきたいことがございます!はやく

ガラシャ 嫌です

きり だったら早く御自害なさればいいではないですか!!

ガラシャ キリシタンは、自ら命を断ってはいけないのです

きり ああもう、キリシタンがわからない。ごめんなさい

無理矢理運ぼうとする

きり 案外重いっ、少しは力出してくださいよ!

きりを振りほどき、一緒に逃げるというような首肯き

兵 奥方様!

きりを突き飛ばす

ガラシャ 頼みます

兵 ごめん

家来に切らせる

佐助 急いで

佐助は追手にマキビシをまく

きり 佐助!

佐助ときりは脱出する




こう 細川屋敷が燃えているそうです

稲 石田様は、人質を殺すおつもりか?

こう まさか

稲 わたくしの父は徳川の家臣。このままでは命が危ない。逃げましょう。子どもたちにすぐに仕度をさせなさい

こう ど、どどどちらへ?

稲 沼田に決まっているでしょう!急いで

こう はい…




三成 細川屋敷が!?

左近 すでに火は消しとめました

三成 何故そんなことになった

ゴニョゴニョ

左近 細川屋敷から逃げ出すものたちを捕らえました




三成 お前は

きり 石田様

三成 これは真田の者だ、解いてやれ

左近 は!

大谷 何ゆえ細川屋敷にいた

きり 話せば長くなりますよ

三成 もういい。玉殿はどうなった

きり 亡くなられました。細川様は、人質になるなら…屋敷に火をかけ、自害せよと命じられたそうです

三成 何ということだ

大谷 まずいな。人質を死なせたことが広まれば、人心が離れ、敵側につく大名も現れる

三成 すぐに戻る

大谷 佐助と申したな。上杉討伐に向かっているアワノカミに、密書を届けてくれ。何日かかる?

佐助 4日と半日




家康 石田治部と大谷刑部が、挙兵を企てておるそうじゃ

正純 まさか…。サワヤマに引っ込んだ石田治部はもはや死に体。刑部は病人にございます。お気にとめることもございますまい

家康 …気になる。上方の動き、逐一調べて知らせよ

正純 かしこまりました




大谷 わしは戦場で、存分に働くことは叶わん。軍勢の采配は、御主に任せる

三成 して、御自身はどうされる

大谷 わしはこれ(筆)で。徳川ダイフと戦う。そこに居地図があろう。去就をはっきりさせていない諸国の大名たちを、こちら側につかせる。そのための書状を、これから書くっ

三成 刑部殿の体が心配だ。有筆?は居らぬのですか

大谷 天下の行く末を決める大事な書状。人には任せられぬ。…魂を込めて、私が考え、魂を込めて…私が書く。うっ

三成 刑部殿

代わりに三成が書く

大谷 徳川ダイフの政は亡き太閤殿下の御掟に背きそのせいうん?は目に余る

三成 しばしお待ちを

大谷 時がない、急げ

三成 どうぞ

大谷 ついに、豊臣秀頼公はダイフを討ち取るべしと、オトナシュウ、奉行衆にしかと命じられた。ついては、天下の安寧を守るために貴殿の御同心、御加勢を願いたく候

三成 もう少しゆっくりと

大谷 見事徳川ダイフを討ち果たした暁には、秀頼公の御名によって、望み次第の地を、約するものなり

その後も続く。大量の書状




朝方

大谷 じ、治部…この戦…。勝った…

気を失う

三成 刑部殿




ナレ 7月19日。徳川秀忠が3万の兵を従え江戸城を出立。同じ日、大阪では宇喜多秀家小早川秀秋が挙兵

宇喜多 いざ!出陣じゃ!!!

おお!!

ナレ 天下分け目の大戦の、幕が切って落とされた




ナレ 7月21日。徳川家康率いる3万の軍勢が江戸を発った。同じ日、昌幸たちは下野の国犬伏に陣を張った

昌幸 いつをもって上杉につくのか

源次郎 戦が始まり、われらに攻撃の命が下った刹那、上杉につくというのが最も有効かと存じます

昌幸 それだ

源三郎 上杉には、伝えておいたほうが良いのではないか

源次郎 すぐに密書を送りましょう




ーーーーーー

源次郎 佐助!

佐助 どうぞ




昌幸 石田治部が挙兵した

源次郎 石田様がっ?

昌幸 刑部殿も加わってるそうじゃ。今日は何日よ

源三郎 21日にございます

昌幸 恐らく今頃、伏見城攻めが始まっとる。早すぎるわ!!

源三郎 どういうことだ

源次郎 父上は、徳川と上杉の戦が始まったら、即座に横合いから襲って家康の首をとるおつもりでした。その後に石田様が挙兵していれば、難なく江戸まで攻めこめたはず

源三郎 どうなる

源次郎 ここから徳川がどうでるかでしょう。このまま上杉と一戦交えるか、江戸にとって返すか、はたまた、西へ向かって石田勢とぶつかるか

源三郎 いずれにしても大戦になるな

源次郎 その時、父上がどうでるのか




源次郎 父上

昌幸 源三郎、源次郎。来てくれ



昌幸 他の者は近づけるな

堀田 かしこまりました




昌幸 1日2日で終わる戦ではない。この先、2年3年、いやあ…。下手したら10年続く。よく聞け息子たち。これよりわれらは上田へ戻り、城に籠る

源次郎 上杉に加勢するという話は

昌幸 一旦忘れる

源次郎 では、徳川に残るということですか

昌幸 徳川とはこれをもって縁を切る。とはいえ、豊臣につくわけではないぞ?真田はどちらにもつかん。上田城に籠り、守りを固める。攻めてきた相手が敵じゃ

源三郎 そののちは、どうされるのです

昌幸 世は再び乱れる。日の本中のいたるところで大名たちが、徳川方と豊臣方に分かれぶつかる。1~2年も続けば、兵は疲れ、士気は下がるだろう。それを見計らってわしは一気に甲斐と信濃を手に入れる。…どうじゃ

源次郎 ……果たして父上のお考え通りになりましょうか

昌幸 何だと?

源次郎 今や、合戦の成り立ちは大きく変わりました。敵味方が巨大な力にまとまり、それが一所で、一気にぶつかり合う。そうなったらこの戦、案外早く決着がつくかもしれません

源三郎 どれくらいとみる

源次郎 長くても幾月

昌幸 それは困る!

源次郎 徳川と豊臣。勝ったほうが次なる覇者となります。どちらにもつかぬということは、どちらも敵にまわすということ。いずれが勝っても、真田の居場所はなくなります

昌幸 その時はその時じゃっ

源次郎 徳川であれ豊臣であれ、戦に勝ったあとは、今よりはるかに大きな力を手に入れています。太刀打ちなどできるはずがありません!

昌幸 その時は上杉と伊達と手を組んで…

源次郎 夢物語はもう終わりしてください父上!!

昌幸 源次郎

源次郎 申し訳ございません

源三郎 どうすればよい

源次郎 こうなったからには、徳川か豊臣か。どちらかに賭けて生き残るしかありませぬ






サンジュウロウ 様子を見てこい

堀田 誰も近づけるなと殿が

サンジュウロウ 様子を見てくるだけだ。佐助!

では、わたくしが

堀田 お止めくだされ、お止めくだされっ




覗く

源三郎 あっちへ行っておれ!!




源次郎 治部様が、毛利様をたて、秀頼公を奉じたことは大きいと存じます。大阪城もすでに抑えておられます

昌幸 豊臣に賭けるしかないか…

源次郎 それしかないかと

昌幸 しかしわしが太閤の下で、長い間我慢してきたの知っておるくせに

源次郎 石田様は父上をかっておられます。上手く話を持っていけば、信濃甲斐の大名にもなれます

源三郎 しかし、豊臣が勝つとは限らんぞ。徳川ダイフは、長い時をかけて多くの大名を取り込んできた。太閤殿下恩顧の大名たちでさえ、徳川につく者も多い。侮ってはならぬ

昌幸 選べ(くじ)

源三郎 父上…

昌幸 黒が徳川、朱が豊臣じゃ。ほれ

源三郎→両方とる(両方とも朱色)

昌幸 何すんじゃ

源三郎 こういうことはもうよしましょう。

昌幸 …

源三郎 …私は決めました。…私は決めました父上。私は決めた!!!!!

昌幸 源三郎…

源三郎 源次郎、お前と父上は豊臣につけ。…俺は徳川に残る

源次郎 お待ちください

源三郎 それが最善の道だ!…いずれが勝っても、真田は残る

昌幸 源三郎

源次郎 しかし…。敵味方に分かれるというのは

源三郎 そうではない。源次郎。われらは決して、敵味方に分かれるのではない。豊臣が勝った時は、お前はあらゆる手を使って俺を助けよ。そしてもし、徳川が勝ったならば、俺はどんな手を使ってもお前と父上を助けてみせる!これは、われら親子3人が…いつの日かまた、膝をつきあわせて語り合う日のための策じゃ!例え…徳川と豊臣に分かれても…常に真田は1つでございます!

昌幸 …良き策じゃ




源次郎 兄上には、迷惑をかけっぱなしです

源三郎 …まあな…だがこれでよいのだ。俺は最も徳川に近い。俺にしかできぬことだ。まあ、われら3人でもう一度、徳川の大軍を相手に一暴れしてみたかったがな

源次郎 豊臣が勝てば、石田様が要となって秀頼様をもりたてていかれるでしょう。徳川が勝てば、強大な力を得て、もはや上杉も敵ではない。どちらに転んでも、戦の世は終わります

源三郎 これが、最後の戦いになるのだな

源次郎 大事なのは、その先。その先は、われらが真田を背負っていかなければなりません。ダイフ様が勝てば、兄上が。治部様たちが勝てば私が

源三郎 婆様の言葉を思い出すな。われらは、この時のために、生まれてきたのかもしれぬ

源次郎 はい

源三郎 …いずれまた、三人で飲める日が来ることを祈ろう

源次郎 必ず。兄上…

源三郎 何だ

涙を流す源次郎
肩を叩く源三郎

源三郎 お前たちは、明日の朝早くここを発ち、上田へ向かえ。俺はここで、徳川ダイフの到着を待ち、真田アワノカミが離反したことを伝える。父上のこと、頼んだぞ




源三郎 史記に出てくるカンシンという武将を御存知ですか

昌幸 興味ない

源三郎 これが実に父上に似ておるのです

源次郎 面白そうです

源三郎 背水の陣という言葉があるだろう。これはカンシンの策なのだが、意味を知っているか

源次郎 川を背にして、背後には逃げられないように布陣をすることですよね。退路を断つことで、兵は死物狂いで敵に向かう。そこに尋常ならざる力が生まれる

源三郎 と思うだろう。だが大事なのはそこではないのだ

昌幸 川を背にするということは、敵もまた背後に回れないということじゃ

源三郎 さすがは父上

昌幸 その分前方の敵に集中できる

源次郎 なるほど、筋が通っています

源三郎 この話を読んだとき、俺はカンシンと父上が重なった

昌幸 戦はな、兵たちの心を動かすのも大事じゃが、一番肝心なのは…ここ(頭)じゃ

源三郎 しかもカンシンがスゴいのはそれだけではないのだ。ある大戦のおり、川を背にして陣を張ったことで、敵はこいつらは戦を知らぬと油断した。総攻めをかけてきた敵に対し、カンシンは相手の背後に忍ばせておいた伏兵を動かし、何と敵の城を乗っ取ってしまったのだ。討ち死に覚悟の戦と思わせて、実は、勝つための戦だったのだ

源次郎 父上のお考えに通じるものがありますね

源三郎 父上は、日の本のカンシンだと俺は思っている。だからこそ、父上の突拍子もない策を聞いても、いつも安心してそれに従うことができる

昌幸 しかしわしに言わせれば…カンシンはバカだな

源三郎 何ゆえそう思われます

昌幸 背水之陣の真の狙いを全て見抜かれておるではないか。そんなことまで書物に書かれては、もう誰も背水之陣なんかできんわ

源三郎 確かに、そうだ

源次郎 さすがは父上

はははははは

ナレ これより二月ののち、真田軍と徳川軍は、上田で再び激突する