ファイバーPOG

ペーパーオーナーゲーム(競馬)を開催します。ファイバーPOG開催予定

真田丸21

「戦端」

ナレ 後陽成天皇聚楽第行幸を実現させた秀吉。その翌年、茶々が男子を出産する。望むものをすべて手に入れたかに思えた秀吉であったが…




三成 北条がまたもや、上洛を断ってまいりました

家康 北条にも弱ったものですなあ

秀吉 静かに、ようやく寝たところだ

家康 ぉ、御無礼を

秀吉 関白をないがしろにしおって…。源次郎

三成 お呼びだ

源次郎 殿下

秀吉 はい

源次郎 いーや、それ、え

秀吉 首、気をつけろ首。あっち行け

秀吉 徳川殿。北条氏政とはどのような男じゃ

家康 早雲より数えて四代目、関八州の覇者たる誇りと自信を、一人でしょいこんだような男でございます

秀吉 舌打ち)討ち滅ぼすか

三成 恐れながら殿下。今は力を養うときと心得ます。残すところは関東と奥羽のみ。ここは慌てずにじっくりと、(オステがグズリ始める)腰を据えかかられてはよろしいかと

秀吉 徳川殿は

家康 北条なんぞ、もはや殿下の敵にあらず。放っておいてもその内、頭を下げてきましょう

秀吉 一刻もはやく天下統一を果たしたいのじゃ。オステのためにも、はよう日ノ本から戦をなくしたいのじゃ

オステの泣きがピークに

源次郎 殿下、もう無理でございます

秀吉 どうした?ん?小便もらしたかな。よしよしよし、すぐおしめ替えてやるからな。よしよし。佐吉、北条攻めじゃ

三成 さっそく戦の手配を

秀吉 よしよし、よしよし




大谷 しかし気になるな。殿下が何ゆえそこまで急がれるのか

三成 誰かの入れ知恵に決まっておる。源次郎

源次郎 はい

三成 この数日の間に、殿下は利休のところへは行かなかったか

源次郎 御察しの通りでございます




利休 おやりなはれ。殿下は今、オステ様がお生まれとなり、大きな波に乗っておられる

秀吉 やはりそう思うか

利休 しかし、波とは寄せては退くもの。この機を逃さず一刻もはやく日ノ本を治め、お子が安心して暮らせる世の中を御作りくだされませ。…北条、つぶしなはれ




三成 利休は殿下にとりいるために、殿下の喜ぶことしか耳に入れぬ

大谷 どうする

三成 今は北条攻めの戦支度をするだけ
。ただしそれにはちと、時がかかるゆえ、それまでにもう一度、上洛を促す書状をおくります

大谷 それが良かろう




寧 赤子というものは、日に日に大きゅうなっていくのね

茶々 毎日顔付きも変わるのですよ。昨日は、わたくしの亡き母に似ておりました

お市樣に?

家康妻 今日はどなたに似ておいででしょう

茶々 今日は…、信長様?

寧 そうやねえ。思えばその子には信長公とおんなじ血が、流れとるんだわねえ

乳母 たまに浅井長政様に似ておられるときもございますよ

寧 できたら、浅井様に似て育ってくれるといいんだがねえ。殿下に似てまったら、二代続けて猿だがねえ

家康妻 近頃はお身体の具合はいかがでございますか

茶々 それが。この子を産んでからずっと手首が痛くて

寧 手首が?

茶々 ええ

寧 あなた姫様育ちで、乳母がおるやで、赤子をぎゃーてあやしたりせんでしょう。何で手首がいたなるの

茶々 何もお分かりではないのですね。お腹にヤヤコがいると身体中の滋養をその子がみーんな吸いとって体の骨節が弱ってしまうのですよ。ねえ

家康妻 はぁ。左様…で、ございましたかね

寧 色々大変だなもう

寧と茶々が顔を見合わせて相槌。気不味い家康妻




家康妻 茶々樣はお子が産まれてから自信をつけてこられたようで。この先どうなるか

本多 お世継ぎ誕生により、あちらこちらに火種がくすぶってまいりましたな

家康 他には

本多 近江中納言

家康 誰だ

本多 殿下の甥御。秀次様にございますよ

家康 ははは、あの若僧か

本多 殿下の後を継ぐのはおのれじゃと思うていたはず。若が産まれて心穏やかではないでしょうなあ




きり ふふふ

秀次 オステにやろうと思ってな

きり お喜びになられますよ、きっと

秀次 正直にゆうてくれ。私がどう見える

きり どういうことでございましょう

秀次 沈んでいるように見えるかな

きり なんでそんなことを

秀次 オステが産まれて、私ががっかりしてるとみな思うておる

きり 違うのでございますか

秀次 むしろホッとしている。そもそも私は跡継ぎの器ではない。それくらいのことはわかっておる。だからオステが産まれて、胸を撫で下ろしたというわけじゃ

きり 左様でしたか。ようございましたね

秀次 とは言え、オステが元服するまでは私が気張らねば。身が引き締まる思いとはこのことじゃ

きり 何より何より

秀次 わしの話はつまらぬか?

きり とんでもない

秀次 叔父上がおられなければ、私はただの百姓の小倅。感謝の気持ちしかない。オステにやってくれ

きり 御自分で渡されては

秀次 あのような楽しげな叔父上を見たことがない。遠慮しておくよ




ちょいちょい

源次郎 御無礼つかまつる

源次郎 務めの最中なんだ

きり 茶々樣のそばに控えているだけでしょう

源次郎 殿下のそばに控えている。お前こそこんなところに居ていいのか

きり 中納言様に呼ばれたの。オステ様にって

源次郎 相変わらずあのお方とは仲が良いな

きり え、何?妬いてらっしゃるんですか?

源次郎 なんで妬かねばならぬ

きり 中納言様とは別に何でもございませんから

源次郎 良い御縁だと思うがなあ、側室にでもなれば大当たり

きり 本気で言ってるんですか?

源次郎 なぜ

きり あのですね、いい加減私を振り回すのはやめてください

源次郎 いつ振り回した

きり たまに私に気があるような素振りをしたかと思えば、いきなり突き放したり。まるで子供ね

源次郎 何を言ってる

きり 何故もっと素直になれない




秀吉 この足をみてみろ。背がたこうなるぞ~

源次郎 殿下。近江中納言様がこれを

秀吉 おおっ。良いものをもろたぞお。ほら、くるくるくるくるくるくるー。オステ、くるくるくるくるくるくるー。オステ、オステ。

茶々 そう言えば、源次郎にも確かお子がいましたね

源次郎 5つになる娘がいます

茶々 どんな父親なのかしら源次郎は

源次郎 私は娘と暮らしたことがほとんどございませぬ

茶々 会いたいとは思いませんか?

源次郎 殿下の御様子を拝見しておりましたら、無性に会いたくなりました




(風車を作る作兵衛)

堀田 できた

すえ ありがとうございます叔父上樣

堀田 ほほほほ、ほほう、ほーう(照れる)

(風車を回して遊ぶ)

堀田 ははははは




源三郎 何ゆえ手をつけぬ。好みに合わぬのなら、食べたいものを何でも申せ

稲 では、正直に申しあげます。どれもこれも味が濃すぎます

源三郎 味が気にくわぬのか

稲 塩味がきつすぎて、一口食べただけで頭がキーンと痛くなります。あとで喉が渇きます

源三郎 信州は、そなたが育った場所より、寒さが厳しいのでおのずと味が濃くなったのであろう。これよりは味を薄めにつくらせる

稲 どうぞわたくしにはお構い無く

源三郎 そうはいかぬ

稲 わがままな嫁と思われたくありません。父から持たされた薄味の梅干しがございますので。どうぞわたくしのことは放っておいてくださいまし




源三郎 なかなか難しいのう

内記 いかがなされました

源三郎 稲のことだ。まるで俺に心を開こうとはせん

内記 そういうときは、鼻っ面をつまんでギューっと捻ってやればよいのです

源三郎 そんなことしてみろ。すぐに本多忠勝が俺を殺しにやってくる

内記 それは弱りましたな

源三郎 日ノ本一厄介な舅だ

失礼つかまつる

内記 どうした

本多平八郎様が、おみえです

源三郎 何!何しに?

内記 用件は

奥方様の御見舞いと

源三郎 先日やってきて帰ったばかりではないか

内記 わずか数日で上田と駿府の歩行。只者ではありませんな

源三郎 することがないのだろうか

内記 娘を思う凄まじき、親心としか




仲のよい平八郎と稲

源三郎 これは父上

本多 おぉ、おぉ、おう。旨い杏子をもろうたので持って参った

源三郎 それはありがとうございます

本多 んん。

源三郎 御無礼をつかまつる

本多 無礼と思うのなら入るでない

源三郎 !

本多 家来衆や侍女たちにこれをやりなさい

稲 かしこまりました

本多 目下の者共を大事にしてこそ、お家の繁栄はあるのだ。そのことを、忘れるでないぞ

稲 肝に命じまする

本多 婿どの何をしておる

源三郎 いえ…

本多 あぁ、もうよい入れ

源三郎 (口パクで愚痴?

本多 婿どの。稲のこと、くれぐれも頼みますぞ

源三郎 心得ております

本多 才色兼備、気立ても良ければ武芸も達者。これほどの女子は日ノ本中探しても、他にはおらん

稲 父上、もうそのへんで

本多 だから、お主も是非。稲に相応しいモノノフになってもらいたいのだ

源三郎 精進いたしまする

松 ごめんくだされ

源三郎 姉上。どうされました

松 あのお婆さん、誰でしたっけ。一度思い出したんですけど

源三郎 婆様

松 今朝からお身体の調子が悪いみたいですよ

源三郎 何

松 どうもね、お風邪を引かれた御様子

本多 (稲のほうを見て)行くでないぞ。風邪でも移ったらどうするのじゃ

源三郎 しかし…

本多、源三郎を睨む

源三郎 お前はここにいなさい




薫 昼すぎまで元気だったもんだからもうびっくり。わたくしに化粧が濃いなどとお小言があって、今に始まったことではありませんと、言い返しましたけどねぇ

源三郎 婆様、どうされました

とり あぁ?

松 耳も遠くなっている

源三郎 これは前からです。俺の声は上手く聞こえないらしい

松 お食事は、とられましたか?何か、もってこさせましょうか?

こう 失礼致します

とり 心配ない。もう頼んだ

薫 婆様お粥がきましたよ

源三郎 さ

とり すまんのぅ

こう 婆様の好きな古漬けもちゃんとお付けしましたよ

とり さすが、ようわかっとるな

こう 何年お仕えしていると思ってるんですか

とり あー

こう 甘えてないで、自分でお食べなさい

源三郎 なんだか申し訳ないな

こう 何を仰います。こうしてお近くで御世話できるだけでも、こうは幸福者でございます。嫌だ、すりごまを忘れた。今持ってきますね

薫 何だか前より元気になっている

とり 古漬けは旨いの




氏政 ははははは

板部岡 おかえりなさいませ

氏政 あぁ。今日は随分と獲物があったぞ。ふっふふふ。韮山にはなかなかの狩り場があるのう

板部岡 おきに召していただき恐悦至極に存じます

氏政 あぁ、ああ

板部岡 本多正信が、すぐ近くまで来ておるそうです

氏政 本多正信

板部岡 是非とも、御隠居様に御話申したいことがあるよしにございます

氏政 何ゆえ家来風情と会わねばならぬ

板部岡 家康よりの、大事な言伝てを預かっておるやし

氏政 ふん、ふざけるな。家康本人が来るならまだしも

(板部岡うなずく)

氏政 そういうことか




正信 こちらでございます

部屋へ案内する

正信 お連れ致しました

家康 相模守殿

氏政 なんと…。ははははははは。これはこれは徳川殿。はははは

氏政座る

氏政 あらかじめ断っておく、わしは秀吉なんぞには従わん

家康 ここだけの話でござるぞ。それがしとて、いつまでも秀吉の下につこうとは思っておりませぬ

氏政 では、なぜ?

家康 今、戦を起こしても…勝ち目はないからでござる

氏政 小牧長久手ではそなたは勝った

家康 あれから、更に秀吉は力をつけ、今や天下統一に王手をかけております。長いものには巻かれよとは…決して卑怯者の方便ではござらん。生き延びるための、知恵と心得られませ

氏政 何ゆえ徳川殿は…、わしを説き伏せようとする

家康 北条と徳川は、長年に渡り敵となったり味方となったり、まさに複雑怪奇な間柄。されど今は、長年の戦仲間と思うております。北条殿は、これからも関東の覇者として、御健在であっていただきたい。この気持ち、嘘偽りは、ござらん

氏政 面白いのぅ

家康 上洛し、形だけでも秀吉に頭をさげる。それだけのこと。あとは何も変わらぬ。わしも、上杉も、真田も。みなそうして参った。北条の家と、領地を守るため。それでも上洛を拒まれるのであれば、残念ながら我らの間も考えねばなりませぬぞ。手切れとなれば、氏直殿に嫁がせた我が娘も、返して戴くつもりでござる

氏政 そこまで申すか

家康 …はい

氏政 上洛のことは、もう一度持ち帰って、ゆっくり考えるとしよう。しかし…、これだけは誓っている。いずれ北条は、秀吉を倒す

家康 心してかかられませ。さもなくば、北条は滅びますぞ

氏政 ははは

ナレ この氏政のおごりが、やがて北条家を滅亡においやることになるのだが、それはもう少し先の話である




正信 殿の誠心誠意の御忠告、氏政様の胸に染みたことでございましょうなあ

家康 だと良いが

正信 で、真、嘘偽りはございませんのですか

家康 もっと素直にならんか

正信 性分でございますゆえ

家康 確かに、北条には滅んでもらったほうがどれだけ助かるか。しかし、心底救ってやりたくなったのだ。何の徳にもならんが、たまには徳にならんこともしてみたくなるもの。いかんか

正信 それでこそ、我らが殿

家康 どうでるかのう




氏直 父上は秀吉に屈するのですか

氏政 そうは言うておらん

氏直 しかし

氏政 様子をみるだけよ。コウセツサイ、上洛するにあたって当方の望みを伝えろ

板部岡 は

氏政 沼田じゃ。我が北条のものであるにも関わらず、いまだに真田がのさばっておる。沼田を真田から取り戻す、それと引き換えの上洛じゃ。左様秀吉に伝えよ

板部岡 はっ




秀吉 舐めおって氏政め

三成 しかしながら、それで上洛するというのならむしろ好都合ではございませぬか

秀吉 何がじゃ

三成 沼田を真田から取りあげ、北条に渡す。その采配を殿下がおこなうのです。天下惣無事の心にもかなっておりまする

秀吉 なるほど?

三成 殿下は大名どうしの勝手な争いを禁じられました。その良き手本になるかと

秀吉 しかし…、真田が納得せんだろう




三成 北条の上洛が決まりそうだ

大谷 北条攻めは取り止めということか

三成 とりあえずは。源次郎、北条は沼田が自分たちの物だと言い張っておる

源次郎 沼田は真田の城でございます

三成 沼田を渡さねば、上洛せぬそうだ

源次郎 父が納得致しませぬ

三成 そこで、安房守を京へめしだすことにした

源次郎 父がこちらへ参るのですか?

三成 お主が直に諭してくれ

源次郎 無理でございます!

三成 全ては戦を起こさぬため。まげて頼む




昌幸 京へ参る

内記 京へ?

昌幸 殿下がお呼びじゃ

源三郎 何ゆえでございましょう

昌幸 わからんが、呼ばれたからには行かねばなるまい。ついでに向こうの屋敷の様子もみてくるわ

内記 は。そろそろ、できておるころですな

昌幸 見せたか?

源三郎 何です?

昌幸 京の屋敷じゃ。隠し扉を方々に作らせた。ここ、ここ、ここじゃ

内記 都も、戦になりますか?

昌幸 関白に子ができたことで、様々な思惑が動き始めた。やはり秀吉の世は、そう長く続かんと思う

内記 ようやく面白くなってきましたな

昌幸 まさすけも連れていく。すぐ伝えてくれ

源三郎 父上、源三郎も御供しとうございます

昌幸 バカをいうな

源三郎 このところ、息がつまることが多すぎまする。気を、晴らしとうございます

昌幸 お主にはこの城を守ると言う大事な役目がある

源三郎 お願いでございます

昌幸 明日、出立する

内記 はっ




薫 京でございますか

昌幸 喜べ、ゆくゆくはお前も京で暮らすことになりそうだぞ

薫 まあ信じられませぬ、京に戻れるなんて

昌幸 関白殿下のお考えじゃ

薫 殿下が。しかし、殿下もわたくしが京で生まれたことまでよう御存知でしたわねえ

昌幸 いやあ、そういうわけではない。いずれ全ての大名が奥方を京に呼び寄せることになる

薫 何ゆえに?

昌幸 大名通しが勝手に戦を始めぬように

薫 ん?

昌幸 つまり、殿下のそばに置いておくのじゃ。まあ…、ひ…

薫 ひ?

昌幸 ま。亭の良い人質じゃな

薫 …嫌でございます

昌幸 京に住めるのじゃ。我慢せい

薫 京だろうがどこだろうが、人質だけはごめんです

昌幸 はぁ…




昌幸 おぉ、なかなか良き屋敷ではないか

源次郎 急ぎ作らせたので、まだ縁側の辺りが仕上がっておりませぬが。

昌幸 ぉぉ…

源次郎 ちなみに図面にあった隠し扉はなくても良いのでやめました。ここと、ここと、ここ

昌幸 うん…。で、わしが此度、何で呼ばれたのじゃ

源次郎、昌幸に訳を話す

昌幸 そんなことができるか!今更沼田を北条に渡せるわけないだろっ

源次郎 北条はそれと引き換えに上洛すると申しております

昌幸 知ったことかっ、これまでどれだけ苦労して沼田を守ってきたか、お前もわかっておろうが

源次郎 わかっておりますが…

昌幸 そんなことのために、わしゃあ京に来たのか!?まさすけ、帰るぞ

源次郎 父上…

昌幸 冗談じゃない

出浦 まぁそう言うな。源次郎が困っておるではないか

源次郎 父上、どうかお考え直しを

昌幸 どうしても沼田が欲しければ、力付くで攻め取るがよい。わしはいくらでも受けてたつ!北条にそう伝えろー!!




源次郎 不首尾にございました

三成 まあ、そんなものだろう。はなからあてにはしておらぬ

大谷 いっそ、こういうのはどうじゃ。北条殿と真田殿を引き合わせ、殿下の御前でとことん談判をさせるのだ。戦ではない、話し合いで落着させる。その上で、本来沼田を治めるべきは、北条か、真田か。殿下が白黒はっきりおつけになるというのは




秀吉 面白い

三成 ことの次第を承知している徳川殿にも来ていただきましょう

秀吉 すぐに手配せよ




昌幸 嫌じゃ

源次郎 いかに北条の言い分が理不尽か、これではっきり致します

昌幸 氏政はこっちにくるのか

源次郎 徳川殿も参られます。どうか御承知ください。これが新しい時代の戦なのです。父上に殿下の前で氏政と渡り合っていただきたいのです。沼田を守るために

出浦 戦ならば…、受けてたつより他はなかろう

うなずく昌幸




氏政 真田昌幸と直に話せと言うてきた

氏直 いかがなさいます

氏政 秀吉の言いなりにはならぬ。わしが京へのぼるのはあくまでも沼田を取り戻しに。順序が逆よ

氏直 しかしそれでは

氏政 上洛はせん

板部岡 御隠居様!




板部岡 このままでは、戦になりもうす

氏直 お主は…、秀吉と戦ったら負けると思うか?

板部岡 負けぬとしても、大変な痛手をこうむりましょう

氏直 どうすればよい

板部岡 御屋形様が、代わりに京へ向かわれては

氏直 バカを申せ!当主のわしが顔を出して命を狙われたらどうする!?

板部岡 では、わたくしが名代として、京へのぼりましょう

氏直 行ってくれるか?

板部岡 真田と渡り合い、沼田を取り戻して御覧に入れます

氏直 頼んだぞっ、こうせつさい!

板部岡 はっ




家康 氏政め…、大人しく上洛すれば良いものを…

正信 いかがなされまするか。また京へ参られますか?

家康 沼田、沼田。まるで咽に刺さった、小骨じゃのう…。…ん?

正信 ?




昌幸 氏政も家康も来んとはいかなることか

源次郎 北条からは板部岡コウセツサイ殿が、そして徳川からは本多正信殿が

昌幸 バカにするな!!あいつらが来ないならわしも降りる!

源次郎 何ゆえっ

昌幸 当たり前じゃ!そんな場にのこのこ出て行かれるか!

源次郎 出浦様…

出浦 これは好機かもしれんぞ。一人の兵も失うことなく、沼田を守りぬけるのだ

昌幸 ええい、うるさい!!




大谷 真田が来られなければ話にならん

源次郎 申し訳ありませぬ

三成 戦になるぞ…。今は北条と戦うときではない。戦えば未曾有の大戦になる。大戦になればせっかくの惣無事が台無しになる、その先には何がある。大名が互いに食らい合う、乱世に逆戻りするだけだっ!

大谷 今一度、父親を説き伏せよ

源次郎 もし、叶わぬなら

大谷 その時は、お主が父の代わりをするしかあるまい

源次郎 私が?

三成 それしかないな

源次郎 それは無理です!

三成 戦をさけるためだ!




源次郎 真田安房守の名代、源次郎信繁にございます

板部岡 北条○○(相模守?)が名代、板部岡コウセツサイ

源次郎 本日は良しなにお願い致しまする

板部岡 とりあえず、そこでよろしいのでは

正信 ごめん

源次郎 本多様

正信 これはこれは、真田源次郎殿

源次郎 御無沙汰致しております

正信 おぉ…、誰かと思えば、板部岡殿ではござらぬか

板部岡 んん…

正信 北条様は…、御息災でおられまするか?

板部岡 …はい

正信 何より

源次郎 ごめん




源次郎 父上、ここに隠れているくらいなら、一緒に向こうへ参りませぬか

昌幸 わしは出ていかん、決めた

源次郎 しかし

昌幸 お前がやるんじゃ

源次郎 父上

昌幸 自分が出るのが嫌で言っておるのではないぞ。お前は上方に来て一段と成長した。いつまでも親を頼るな。わしがここにいること、誰にも言うな

源次郎 言いません

昌幸 徳川を味方につけるのじゃ。徳川がどっちにつくかで勝負は決まる。源次郎、決して沼田を北条に渡すな

源次郎 かしこまりました

昌幸 これは戦じゃ

どん!

うっ!




源次郎 本多様はこちらへはいつ御越しに

正信 昨日にござる

源次郎 長旅、御苦労に存じます

正信 いやいや、この歳になりますとな、いささか、腰にきまして

源次郎 そんなときは、有馬の湯に行かれると良いですよ

正信 有馬?

源次郎 殿下もよく湯治に行かれます。殿下の御言葉を借りれば、日の本一の名湯とのこと

正信 ほーう。それは良いことを聞いた。帰りに是非、寄ってみましょう。はっはっは。有馬?




三成 殿下、板部岡コウセツサイ、真田源次郎信繁、本多佐渡守正信、揃いましてございます

秀吉 では参るか





三成 関白殿下の、おなりでございます

秀吉 関白太政大臣豊臣秀吉であるぞ




ナレ 沼田城は上野の崖の上にたつ、小さな城に過ぎない。しかしその小城をめぐり、真田と本多と徳川。そして豊臣の威信をかけた戦いが、今始まろうとしている





予告
板部岡 かすめとったではないか!

源次郎 騙しとり、かすめとり、勝ち取りました!

三成 真田と北条の戦だけでは済まなくなる

昌幸 まさか沼田ごときが

三成 その沼田が火種となるのだ!!

源次郎 氏政を上洛させれば、真意を聞くこともできますっ

秀吉 さんざんわしは救いの手を差し伸べきた。あとは戦しかない